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2012年02月27日
シイタケ菌床培地における放射性セシウムの移行率変移についてまとめました

シイタケ菌床培地における放射性セシウムの移行率変移について

株式会社富士種菌
研究開発室 降矢 郁美

試験目的

 菌床培地の培養日数(培養熟度)とシイタケへの放射性セシウムの移行率の相関性を調査した。

試験方法

 以下に示す、オガクズ、米ヌカを用いて菌床培地を調整し、ポリエチレン製の栽培袋(1.3kg用)21袋を作成した。高圧釜(121℃25分)で滅菌し、一晩放冷後、シイタケ(株式会社富士種菌 F206)のオガクズ種菌を接種した。このうち1袋を放射線測定用に供試し、残りの栽培袋については培養室(21℃)で培養を行った。その後、培養70日目で発生させる試験区A:10袋と120日目で発生させる試験区B:10袋に分け、それぞれ定法によってシイタケを発生させた。
測定精度を求めるために両試験区とも全菌床から均等にシイタケを採取し、放射性セシウムの測定を行った。
尚、移行率は「生シイタケの放射性セシウム値(Bq/kg)/菌床培地の放射性セシウム値(Bq/kg)」で算出した。

試験期間
H23年8月19日?H24年1月12日


材料

・おが屑
    福島県伊達市月舘町産コナラ(伐採日:H23712日)
    放射性セシウム370 Bq/kg
    測定日:H23812
・米ヌカ
    H22年度産 山梨県産
    放射性セシウム不検出
 
    菌床培地組成

菌床培地組成
オガ
米ヌカ
合計
菌床1袋あたりの重量
379
123
348
850g
   ※含水率:65% pH5.5 に調整


結果

 
 
Cs134
(Bq/kg)
Cs137
(Bq/kg)
セシウム合計
(Bq/kg)
殺菌後菌床培地
からの移行率
菌床袋
培養基
123.0
125.0
248.0
 
試験区A
(培養期間70日)
椎茸
33.0
40.0
73.0
0.30
試験区B
(培養期間120日)
椎茸
52.7
54.8
107.5
0.46

 測定機器:ゲルマニウム半導体検出器 ORTEC社製 GEM20-70
 ※移行率算出の際、菌床培地のCs値については半減期補正を行っている


考察
 今回、菌床培地の培養日数が長くなるとシイタケへの放射性セシウムの移行率が増加する結果となった。これは、培養日数の増加ともにシイタケ菌糸体内の放射性セシウム濃度が上昇したものと考えられる。通常、菌床培地は原木に比べシイタケ菌による培養基の栄養分解吸収速度が早い。従って、菌床栽培では培養日数の違いで放射性セシウムの吸収量に比較的大きな差が生じた可能性がある。但し、一般に菌床栽培の培養期間は長くても半年程度なので際限なく上昇することは考えにくい。

 
きのこかわら版
名水きのこの里


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